Simulation Engineer

Tanaka Hirokazu

好きの姿勢を追及し続けること、それこそが成果を上げる最も簡単な方法

PROFILE

田中浩和 / シミュレーションエンジニア
コロンビア大学 土木工学科専攻

アメリカで当時最先端の研究に従事

-これまでのキャリアについてお話いただけますか

私はニューヨークで生まれ育ったのですが、大学はコロンビア大学に進学し土木を専攻していました。日本の大学と同じように、学部1,2年は一般教養(数学、物理、化学等)メインで、3年から専攻として構造や土の挙動を分析したり、流体について学んでいましたね。

卒業後はU.S. Naval Research Laboratory(アメリカ海軍研究所)に就職し、主に船のコンセプトデザイン(構造設計)の業務に従事していました。

そこでは潜水艦と船を扱っていたのですが、私は船の事業を手掛けていて、具体的には、例えば魚雷を受けても耐えられる設計や重量のバランスに耐えうる設計(最適化)の研究していました。
ただ土木出身の私なので、周りの方と比較しても珍しい進路先だったと思います。
日本で言えばゼネコンに就職することが多い中で、私は船の構造設計ですからね。

理由は至って単純なのですが、土木関連の企業がつまんなそうだったから(笑)。
当時としては最先端のスパコンを扱っていた海軍研究所の方が面白そうだったので周りとは違う進路を選択しました。
元々人と違うことをやったほうが面白いと思うタイプなので、それこそ学生時代はスウェーデンに行って、建設機械メーカーの会社でアルバイトしに行ってました。給料はたかが知れていましたが(笑)。

また、海軍研究所がジョージワシントン大学と提携していたので、働きながら大学院に通い、機械工学(構造力学)の修正号を取りました。
そこでは造船関係や当時最先端と言われていたCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を構造力学的に計算したりとかしていましたね。

その後5年ほど働いた後、日本に興味があったので日本に行き、技術コンサルの会社で勤務していました。そこでは実験や振動解析業務メインで従事していたのですが、5年程度勤務する中で計算だけじゃなくモノづくりにもっと関わりたいと思い、製造業ベンチャーに転職。そこでもシミュレーションはやっていたのですが、その会社では製造工程の分析に注力していたので、工場を作って射出成型だったり、実験(放電加工等)をやるなど、実際にやりたかったモノづくりに関わっていました。

そしてその会社で一緒だったメンバーが会社を立ち上げるというので、
誘いに乗ってCCTでシミュレーションエンジニアとして働いています。

顧客の期待に応えるということ

-今まで関わったプロジェクトについて教えてください

印象に残っているのは、大手製造業向けのバーチャル設備開発ですね。あるモノを成型する際に、1つの製造ラインで試すのに億単位以上掛かってしまう現状がありました。

そこで実際に物理的な製造ラインを用意しなくても、シミュレーションで実施出来れば大幅にコストが下がるし、出来ることが増える。
シミュレーションは簡単なものではないので、現場の方がいじってもトラブルに繋がりやすいんですよね。専門家ではない方がシミュレーションをしても、色々パラメータがあり過ぎて分からずに上手くいかないことが多い。

そのため素人に近い方がいじってもシミュレーションを実行できるように開発したプロジェクトは非常にタフだったものの非常に充実していました。シミュレーションはあくまで手段であって、専門家だけが使えるようでは良くない。顧客の要望に寄り添いながら試行錯誤し続けたプロジェクトでした。

シミュレーションの可能性

-今後実現したいことを教えてください

今後シミュレーション領域はIoTと連動しながらデータ分析が出来るようになってくるので、専門分野であるシミュレーションを活かして、”現実的なシミュレーション”を実現していきたいです。

シミュレーションって、入力があって、境界条件があって、結果が出てくるという流れですが、大体、境界条件や入力は未知なものが多いんです。なおかつノイズが乗るので絶対に合わない。
そのため計測データ(今の言葉で言えばIoT)を入れ込むことでより正しい結果が得られるので、シミュレーションの精度や質を上げるという意味では、IoTとの連動は不可欠だと考えています。

IoTの本来の目的って、例えば製造業の領域だと予知検知とかになると思うのですが、それを検知してリアルタイムで計算・反映できるシミュレーションモデルを実現したいですね。
通常のシミュレーションだと何時間も掛かってしまうので。

現在はまだIoTの連動という意味では出来ていないことが多く、
シミュレーションはあくまで理想の世界に存在するので、より一層それに近づけるような取り組みには挑戦したいです。

疑問を持つことの重要性

-CCTに合う方はどんな方でしょうか

シミュレーションに限って言えば、忍耐力や根性はマスト(笑)で、
何事にも興味を持つことだったり、”好き”の姿勢を追求することが重要だと思います。

ハードスペックで言えば、物理現象に関するバックグラウンドがあればマッチすると思っていて、
いわゆるロジックがあると親和性は高いかなと。
弊社でも物理専攻の出身者は多いですが、知識として持っていることはもちろん重要だとは思います。

ただそれ以上に重要なのが「なぜだろう?」と疑問に思う姿勢で、これはシミュレーションに限らずだとは思いますが、日常の様々な事象に対して疑問を持ち、自分なりの仮説を立てて調べる姿勢があれば、かなり面白い分野ですし、成果としても出やすいんじゃないかなと思います。

誰かから答えを教えてもらって表面的理解に留めるのではなく、
あらゆることに疑問を持ち、疑いながら調べ続ける姿勢はすぐに身に付くわけでは無いですが、そういう姿勢を持った方とは一緒に働きたいですね。

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