くじ引きとネイピア数

はじめに

 今回は、簡単なくじ引きの問題とそこから導き出されるネイピア数について解説する。有名な話なので知っている方も多いかもしれない。

くじ引きの問題

 最初に次の問題を考える。

確率$q=1/n$で当たるくじ引きを行う。$n$回くじ引きを行ったとき、少なくとも1度は当たる確率$p$を求めよ。

直観的にはかなり1に近い確率になりそうな気がするが、まじめに計算すると、この確率はそれほど高くないことが分かる。

解答

 くじを引いて当たらない確率は

(1)    \begin{equation*} 1-\frac{1}{n} \end{equation*}

である。従って、$n$回引いて全て外れる確率は

(2)    \begin{equation*} (1-\frac{1}{n})^n \end{equation*}

になる。1からこの確率を引いたものが、少なくとも1度は当たる確率$p$になる。

(3)    \begin{equation*} p=1-(1-\frac{1}{n})^n \end{equation*}

考察

 詳しく考察するため、$p$$n$の関係をグラフにする。

上図の横軸は$n=1$から始まる。このグラフを見ると、$n$を大きくすると確率pは1から遠ざかることが分かる。これは最初の直観に反する振る舞いである。また、$n$を大きくしていくと何かの値に収束していくように見える。

ネイピア数

 実は、次式が成り立っている。

(4)    \begin{equation*} \lim_{n\rightarrow\infty}(1-\frac{1}{n})^n=\frac{1}{e} \end{equation*}

右辺の$e$はネイピア数と呼ばれる無理数である。従って、式(3)は$n\rightarrow \infty$のとき

(5)    \begin{equation*} \lim_{n\rightarrow\infty}p=1-\frac{1}{e} \end{equation*}

となる。この右辺の値を計算すると、0.6321…となる。この値が上のグラフの収束値である。

実験

 今考えている問題は以下である。

確率$q=1/n$で当たるくじ引きを行う。$n$回くじ引きを行ったとき、少なくとも1度は当たる確率$p$を求めよ。

今度は次の問題を考える。

確率$q=1/n$で当たるくじ引きを行う。何回くじ引きを行えば、少なくとも1度は当たる確率$p$が0.99を越えるだろうか?

いま簡単のため$n=100$の場合、つまり$q=1/100$のときを考える。くじ引きを$x$回行うとすると

(6)    \begin{equation*} p=1-\left(1-\frac{1}{100}\right)^x \end{equation*}

を得る。グラフを書くと下図となる。

横軸は$x=100$から始まる。$x=400$$p=0.982$程度、$x=500$$p=0.993$程度となる。従って約500回くじを引けば、少なくとも一度は当たる確率が99%を越えることが分かる。随分とたくさん引かなければならない。

 最後の問題。

宝くじ一等を当てるには少なくとも何枚宝くじを買えばよいのだろうか?

まとめ

 今回は、簡単なくじ引き問題の中にネイピア数と呼ばれる無理数が潜んでいることを見た。ネイピア数は単なる無理数ではなく超越数と呼ばれる特別な数である(円周率$\pi$も超越数である)。日常生活の中に隠れている数学の一例として紹介した。

Kumada Seiya

Kumada Seiya

仕事であろうとなかろうと勉強し続ける、その結果”中身”を知ったエンジニアになれる

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