世の中を数学で表す?数学で表すジャグリング!

世の中を数学で表す?数学で表すジャグリング!

はじめまして!siroと申します。
学生時代は学業では数学の研究を、サークル活動ではジャグリングをしていました。
一見そんな学生時代に取り組んだ2つの物事は何の脈絡もなさそうですが、実は関係性があるということについてお話をしていきたいと思います。

ジャグリングとは?

そもそもジャグリングってなにか知らない方もいらっしゃると思うので簡単に紹介いたします。

まず、ジャグリングにはどんなものがあるか例をあげると

  • ボール(お手玉)
  • クラブ(ボウリングのピンみたいなやつ)
  • ディアボロ(中国コマ)
  • シガーボックス
  • デビルスティック
  • ヨーヨー
  • ポイ

などが挙げられます。
ポイは最近グラフィックポイやビジュアルポイとして流行し、アーティストのライブのパフォーマンスなどでも使われていたので知っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このように投げたり振り回したりしてモノを操る技術をジャグリングといいます。

そんなジャグリングの中で、モノを投げるジャグリングをトスジャグリングというように呼びます。
実はこのトスジャグリング、数列で投げ方を表現することができるんです。
この数列をサイトスワップと呼びます。

サイトスワップ例その1

先ほど出てきたサイトスワップとはどのようなものか、例を挙げて説明しましょう。

例えば3つのモノで投げることができる441という数列について考えていきます。
この技は以下の動画のような技です。

441という数列は441441441\cdotsと続いていく循環数列を指します。

数列 4 4 1 4 4 1 4 4 1
ボール A B C C A B B C A
時間 1 2 3 4 5 6 7 8 9

上記の表は441の動きを示した表です。
それぞれ軽く説明すると、

  • 奇数時間は右手を偶数時間は左手を表す。
  • ボールA、B、Cはボールの種類を表す。今回は3つのボールのサイトスワップなので3種類用意している。
  • サイトスワップ441のそれぞれの数字は次に現れるまでの時間を表す。

これらを踏まえて上の表を見ていきましょう。
まず、最初の時間1に現れるAは次に4回後に現れることを示しているので、次は時間5の位置に現れています。
次に、時間2に現れるBは4回後に現れることを示しているので、次の出現は時間6の位置です。
このように、サイトスワップの基本的な数列は複数のモノが同時に出現しないように出来ています。

もう一つ例を出してみましょう。
3つのモノで投げることのできる3という数列について考えていきます。
この技は以下の動画のような技です。

数列 3 3 3 3 3 3 3 3 3
ボール A B C A B C A B C
時間 1 2 3 4 5 6 7 8 9

この数列もモノが同時に出現しないようにできています。
ちなみに、この3が3つのトスジャグリングの基本パターンで、4つなら4、5つなら5が基本パターンです。

このような数列をジャグリング可能な数列とよびます。

ジャグリング可能の定義と命題

先ほどまでの話を数学的に表現していきましょう。
まずはジャグリング可能の定義から紹介していきます。

定義
周期n+1のサイトスワップ数列\{ a_n \}について\{ a_n \} = a_0 a_1 \cdots a_n \in \mathbb{N}と定める。
このとき、0 \leq i,j \leq nかつi \neq jである任意のi,j \in \mathbb{N}に対してa_i +i \not \equiv a_j + j \pmod{n+1}が成り立つとき、これはジャグリング可能なサイトスワップ数列であるという。

この定義で書かれているa_i +i \not \equiv a_j + j \pmod{n+1}とは、この左辺と右辺をn+1で割った時のあまりが異なるというもので、合同式といいます。
また、ここで定義していることを簡単に言い換えれば同じ時間にはモノが必ず2個以上存在しない(同時にモノを投げたり受け取ったりしない)ということを定義しています。

上記の定義を踏まえて、さきほどのサイトスワップ441を見てみましょう。
a_0 = 4, a_1 = 4, a_2 = 1なので、

a_0 + 0 = 4 \equiv 1 \pmod{3}
a_1 + 1 = 5 \equiv 2 \pmod{3}
a_2 + 2 = 3 \equiv 0 \pmod{3}
となり、確かに定義を満たしています。
また、サイトスワップ34などの基本パターンについても明らかなので証明は省きます。

ではここで一つの定理について考えていきましょう。

定理
ある数列\{ a_n \} = a_0 a_1 \cdots a_n \in \mathbb{N}がジャグリング可能ならば、
\frac{1}{n+1} \sum_{k=0}^{n} a_n \in \mathbb{N}
が成り立ち、その値は使用するモノの数に等しい。

この定理を簡単に言い換えると、ある数列がジャグリング可能なサイトスワップ数列ならば、その数列の各要素の平均値が扱うモノの数になるという定理です。
ジャグリングをしたことがある人ならこの定理で言われている事実を知っている方がある程度いらっしゃると思いますが、なぜ成り立つのかや本当に成り立つのかなど深く考えたことがある方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?
今回はそんなジャグリングをしている人間なら知っている知識について、数学的に深く考えていければと思ってこの定理を紹介することにしました。

ではこの定理を証明していきます。

証明
まず、この定理を証明をするために一つ命題を用意しましょう。

命題
ある数列\{ a_n \} = a_0 a_1 \cdots a_n \in \mathbb{N}はジャグリング可能な数列であるとする。
1 \leq k \leq n0 \leq i \leq n-kである任意のk,i \in \mathbb{N}に対し、kをそれぞれa_iに減算、a_{i+k}に加算してから順番を入れ替えた数列
a_0 a_1 \cdots a_{i-1} (a_{i+k}+k) a_{i+1} \cdots a_{i+k-1} (a_i -k) a_{i+k+1} \cdots a_n
もジャグリング可能で、扱うモノの数はもとの数列が扱う数に等しい。

この命題の主張は、k個離れた要素を入れ替えるときはそれぞれの要素にkを足すか引くかをすればジャグリング可能な数列になり、扱うモノの数も等しいということです。

まずはこの命題から証明していきましょう。

数列\{ a_n \} = a_0 a_1 \cdots a_n \in \mathbb{N}はジャグリング可能なので、0 \leq i,j \leq nかつi \neq jである任意のi,j \in \mathbb{N}に対して
a_i +i \not \equiv a_j + j \pmod{n+1}が成り立つ。
ここでi<jとし、j=i+kとなるようにkを定める。
このサイトスワップ数列のi番目とj番目を入れ替えた数列\{ b_n \} = a_0 a_1 \cdots a_{i-1} a_j a_{i+1} \cdots a_{j-1} a_i a_{j+1} \codts a_nを考えると、
a_j + ia_i +jがそれぞれジャグリング可能の定義を満たしているとは限らない。
そこで、
a_j +i +k = a_j +j
a_i +j -k = a_i +i
とすれば、\mod{n+1}で数列\{ b_n \}はジャグリング可能の定義を満たす。
ここで、任意のp (\in \mathbb{N})個のモノを扱う基本的なサイトスワップpを考えると、この平均値はpである。
また、これは循環数列なのでpn+1個並べたppp \cdots pという数列でも表現可能で、この平均値もpである。
先ほどと同様にしてi番目とj番目を入れ替えた数列について、i番目はp+k時間後に、j番目はp-k時間後に現れる。
これはつまり、もとの数列でi番目とj番目がそれぞれ指定していた場所に入れ替えた後の数列のj番目とi番目が指定しているだけなので、これもp個のモノを扱うサイトスワップ。
よって命題の題意は示された。

この命題により、任意の値mについてmに命題を適当に繰り返せばm個のモノを扱うサイトスワップが表現できて、その数列の要素の平均値がmになります。
故にこの定理は成立します。

ではこの定理の逆の場合はどうでしょうか?
つまり、

数列の平均値が整数になるならばこの数列はジャグリング可能

という命題です。
先ほど証明した定理しか知らない人はこれが真であると思ってしまう方もいるのではないでしょうか?(私がそうでした)
この定理の反例は簡単です。
54321という数列の平均値は3になりますが、これはジャグリング可能な数列ではありません。
これは簡単なので証明は省きますが、これが数列の平均値だけでジャグリング可能と判断してはいけない理由です。

先ほどの定義ではものを同時に2つ扱わない状態を前提とした話をしました。
しかしながら、現実ではモノを2個同時に片手から投げたり、左右同時にモノを投げたりすることもあるでしょう。
この定義からはちょっとそれますが、そういうものもサイトスワップで表す方法が確立されています。
それを例に挙げてみていきましょう。

サイトスワップ例その2

まずはモノを片手から同時に投げるマルチプレックスというサイトスワップを考えていきたいと思います。
例として5つのモノを投げる[97]121というサイトスワップを挙げてみます。
ここで書かれている[97]が片手から同時に投げることを表します。

数列 [9, 7] 1 2 1 [9, 7] 1 2 1 [9, 7] 1 2 1 [9, 7] 1 2 1
ボール A, B C C D D, C E E B B, E A A C C, A D D E
時間 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16

片手に2つ同時に収まる時間があることを除けば、先ほどの1つ目の例と同じでモノが現れる時間が被らないようになっています。
これでマルチプレックスのパターンも表現できるようになりました。

次に、左右同時に投げるシンクロというサイトスワップも考えていきましょう。
例として(2x, 4)(4, 2x)というパターンを挙げてみます。
(2x,4)というものが両手を同時に投げるパターンの書き方で,、またxという表現はもう片方の手に投げることを示します。
上記のサイトスワップは実際の投げ方とは少々異なります。
先ほどまでの表記に合わせると(2x, 4)(0, 0)(4, 2x)(0, 0)といったところでしょうか。
この表記で今までのように確認してみましょう。

数列 (2x, 4) (0, 0) (4, 2x) (0, 0) (2x, 4) (0, 0) (4, 2x) (0, 0)
ボール A, B C, A A, B C, A
時間 1 2 3 4 5 6 7 8
右, 左 右, 左 右, 左 右, 左 右, 左 右, 左 右, 左 右, 左

上記のように(0, 0)を入れると正しいように感じます。
ではなぜ表記はそうではないのでしょうか?

これは本来サイクル数というもので表現するサイトスワップで、シンクロパターンはそのサイクル数で表現するものだからです。
上記のサイトスワップをサイクル数で表現すれば(1サイクルx, 2サイクル)となります。
これを便宜上置き換えているだけなので、あのように(0, 0)を足してあげると表現としてはきれいになります。

最後に

以上がジャグリングを数学的な観点から考えるサイトスワップというものでした。
サイトスワップに関する論文もいろいろあるので、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。

また、今年の西暦2019もジャグリング可能な数列なのでよかったら挑戦してみてください(笑)!

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