小松美樹/ソフトウェアエンジニア
神戸大学大学院 工学研究科 市民工学専攻
新卒でCCT入社
アメリカへ留学し、スパコンでシミュレーションに従事
-学生時代の研究について教えていただけますか
学部時代は地盤力学の研究室に所属し、近年注目されているスロースリップに関する研究を行っていました。
具体的には、スロースリップが観測される海溝近くのプレート境界面の地盤に含まれる粘土鉱物の挙動に注目し、解析を行っていました。まだ発生メカニズムが解明されていないスロースリップという現象に対し、複数の分野で仮説が立てられていますが、我々の研究室では、土質力学の観点から現象を説明できないかとモデル化を試みていました。1つの現象に対し、自分の分野においてはこう説明できるかもしれない、と試行錯誤する過程がとても楽しかったです。
大学院時代はアメリカに1年半ほど留学しており、ベイエリアと呼ばれるサンフランシスコやシリコンバレーなどを含む広域一帯を対象に、災害発生時に交通や水道などのインフラがどのように影響を及ぼし合うかというシミュレーションを、スーパーコンピュータを用いて行っていました。日本に帰国してからも、スパコンのある研究所の一チームで働かせてもらい、同様の研究に携わらせてもらいました。日本は自然災害の多い国ですし、研究の成果が自分たち市民の生活に直接関係する研究だったので、とてもやりがいを感じていました。土木工学・計算科学・社会工学等々、様々な分野の研究が合わさって進められていく最先端の研究に携わらせてもらい、とても楽しかったです。
入社後に自分の甘さを知る
-学生時代のプログラミング経験について教えていただけますか
プログラミング経験は、大学院に入ってからです。大学院時代の研究のなかで、交通のシミュレーションを行うために、Pythonを用いていました。座標を含む道路網のデータや、省庁が公開する国勢調査データなど、様々なデータをインプットとし、グラフ理論のアルゴリズムに基づき交通のシミュレーションを行っていました。データの前処理やシミュレーション、結果の可視化のためにPythonでコードを書いていました。
CCTに入るまでプログラミングを体系的に学んだ経験はなく、Pythonでコードを書いていたときも最初からずっとGoogleが先生という状況でしたが、エラーを一つ一つ解消し、自分のしたいことを自分で実現できるプログラミングに楽しさを感じていました。
また、Pythonでのプログラミングに加えて、前述の通りスパコンを用いていたので、Linuxを使ったりコマンドラインで操作することが多く、当時はそれだけで自分は同じ学部の同期よりも少しプログラミングができる気になっていたのですが、CCTに入ってみてそれを仕事にしているプロたちを沢山目の当たりにして、当時の自分の甘さを知りました。
お客様の困りごとをどう解決するか、そこに楽しさを感じる
-CCTで今まで関わったプロジェクトについて教えていただけますか
2020年8月にお客様のDX支援を行う部署に配属されてから、5つ以上のプロジェクトに携わってきました。主には、建設業もしくは製造業のお客さんであることが多かったです。
一番長く携わらせていただいたプロジェクトでは、製造業のお客様を相手に、お客様の業務の困りごとをヒアリングし、その後PoCを行ってから、要件定義を行いました。そのプロジェクトのPoCフェーズでは、お客様を目の前にして、2時間ほどかけてシステムの使い方を業務に沿ってご説明し、実際に使っていただく場の講師役を務めました。当時は自分にとっては大役に感じていましたが、社内外のプロジェクトメンバーのサポートもあり、評価いただき、大きく成長できた経験となりました。
その他のプロジェクトについても、上流工程に携わらせていただくことが多く、コードを書く仕事はここ1年半ほどは行っていないです。当たり前ですが、学生時代の研究でコードを書いていたのと、仕事として期限や責任があるなかで行うのはまた別だということも強く感じました。コードを書くのも楽しいですが、自分の性格的に、お客様の業務をお聞きしながら、困っていることや実現したいことを引き出したり、それに対してどうするとよいのかを提案したりすることに楽しみを感じるので、今の仕事にはとても満足しています。”
日々の仕事を積み重ねていき、市場価値の高いビジネスパーソンへ
-今後実現したいことを教えていただけますか
私がCCTに入った理由は、学生時代の解析やプログラミングが楽しかったため、エンジニアになりたかったという理由もありますが、もっと長い目では、自分がやりがいをもって研究をしていた土木という分野では、まだまだIT化が進んでいないため、まずは自分がITの分野に詳しくなり、それを土木の分野にそれを持ち返ろうという思いもありました。
ですが、正直現状では、まだ持ち返れるだけの経験や知識はついていないと感じます。特に、上流工程に携わらせていただく中で、業務を理解してお客様と会話することはできますが、お客様の困りごとに対して、こうしてはどうか?という提案をするスキルは全くまだまだだと感じています。
そのため、この先どうしていきたいかの具体的な計画は立てていませんが、今は目の前の仕事に全力で取り組み、経験と努力を重ねた結果、お客さんの困りごとに対して、具体的な提案を行っていけるエンジニアになりたいです。CCTには技術に尖ったエンジニアが多いですが、システムのこともある程度分かるけれども、お客様の業務をよく理解している、お客様と技術に尖ったエンジニアの良い橋渡しになれるようなエンジニアになりたいです。