新プロジェクト、始動。
会社の未来を託されたのは、
若きエンジニアたち。

長谷川

まずは『Orizuru』について、どういった製品・サービスなのかを説明する必要がありますね。

石 原

『Orizuru』は、コアコンセプト・テクノロジーが2016年に自社製品として開発した製造業向けIoTソリューションです。機能は大きく分けて4つ。工作機械などの設備データを収集する「Gateway」、収集したデータを蓄積し、機械学習・ビッグデータ解析・集計を行う「Data Platform」、蓄積したデータの表示や設備コントロールをおこなう「Dashboard」、そして3Dデータの各種表示や360°展開が可能な「View」を備えています。

込 山

わかりやすくいえば、機械設備のデータを収集し、分析・活用することでお客様のモノづくりを最適化へと導くIoTソリューションです。なかには特定機能のみを単体サービスとして販売・提供することもありますが、データ活用までを含めてシステム全体が連携することで最大限のパフォーマンスを発揮します。

長谷川

クルマの開発でたとえるなら、エンジン、タイヤ、ボディなど、必要なパーツをそれぞれが担当者として開発し、そのすべてのパーツを組み合わせた完成車が『Orizuru』というイメージですね。場合によってはタイヤやエンジンだけを個別に販売する、みたいな。

込 山

確かに。それは分かりやすいたとえですね。

石 原

『Orizuru』開発のきっかけですが、会社としてさらに成長していくには自社製品が必要だという話が持ち上がったことでしたね。それまでコアコンセプト・テクノロジーでは受託開発の案件をメインとしていましたから。今後の社運を賭けるといえば大げさかもしれませんが、プロジェクトの規模としては会社のさらなる飛躍に向けた起爆剤になる可能性を秘めている。『Orizuru』の開発は、そんな位置づけだったと思います。

長谷川

そんな中、各機能の開発を任されたのがここにいるメンバーというわけですね。込山さんは「Gateway」を、石原さんは「Data Platform」のクラウド・サーバー構築を、そして私は「Data Platform」に蓄積したデータの機械学習・解析部分の開発を担うことになりました。ちなみに開発メンバーに抜擢された時のことを覚えていますか?

石 原

2015年の秋ですね。コアコンセプト・テクノロジーへ転職して間もない頃ですが、社長からプロジェクト参画を打診されました。当時はIoTという言葉が世の中に出始めた頃で、開発テーマとしてはまさにタイムリー。また製造業界向けのシステム開発は、私にとって未知の領域でした。率直に面白そうだと思い、二つ返事で「はい」と答えましたね。

込 山

私の場合、少し異例かもしれません。石原さんと同じ中途入社ですが、実はそれまでITに関する知識や経験は一切なかったんです。ただ前職では金属加工業の現場で加工者として従事していました。『Orizuru』のターゲットである製造業界についての知識は他の社員よりも持っていたので、それが活かせるのでは?と思い、自ら手を挙げたんです。

長谷川

となると、メンバーに抜擢された時はかなり嬉しかったのでは?

込 山

そうですね。嬉しいというか、ありがたい気持ちが強かったですね。ITに詳しいメンバーが多数いる中で、経験の浅い私が重要プロジェクトに携わるわけですから。それこそ挑戦したいと思っていた人は他にもいたと思います。その点、長谷川さんは完全に期待されての抜擢だと思います。

石 原

うん。開発を進める上で何度も打ち合わせをしましたが、「データ収集」と並んで「機械学習・ビッグデータ活用」は当初からよく出ていた言葉。データを収集した後、そのデータをどうするのか?という部分の議論でね。当時は事業部長が打ち合わせに参加していましたが、プロジェクトの適任者としてビッグデータの活用が得意な長谷川さんの存在は脳裏に浮かんでいたと思います。

長谷川

そうなんですね、ありがとうございます。私はプロジェクト始動後に入社したこともあり、詳しい事情は聞いていなかったので。ただ、すでに世の中にはAIという言葉が浸透していましたし、『Orizuru』の開発におけるデータ活用の重要性も認識していたつもりです。技術の最先端に携わるのはエンジニアにとって魅力的なこと。当然、楽しみな気持ちが強かったですね。

苦労も困難も、すべて想定内。
それでも挑み続けるのは、
エンジニアとしてのプライド。

石 原

きっかけは三者三様ですね。ちなみに開発には必ずミッションが発生します。たとえば「Data Platform」にはデータを収集する「インプット機能」と、それを分析用に出力する「アウトプット機能」があります。インプット機能でいえば、収集時にはさまざまな種類のデータを受信します。それでもダウンすることなく、すべてのデータを制限なく受け入れるように設計できるかどうか。これがまず一つ。そしてもう一つがアウトプット機能。たとえばデータ分析担当の長谷川さんが使いやすく、また取り出しやすい形でデータを表示すること。「サーバー負荷対策」と「使いやすさ」。これがクラウド側のプラットフォームのミッションでした。

込 山

私の場合は明確ですね。全メーカーのすべての型番のNC工作機械を「Gateway」と接続できるようにすること。ほぼ、この1点です。これができるかどうかが『Orizuru』の価値を左右するといっても過言ではありません。たとえば「ウチで使っているCNCは対応範囲に入っていないの?」となれば、そのお客様にとって『Orizuru』は何の効果や価値もないわけですから。

長谷川

データ分析・活用に関わる立場としては、二人とは少し“ミッション”に対するニュアンスが異なります。というのも、まず大前提として画一的なパッケージシステムとして提供するわけではない、という点が挙げられます。どちらかといえば受託開発に近く、お客様の要望に対して個別に対応しながら最適な解決策を提案していくのです。その点、あらゆる要望に応えるための知識と技術を取り入れる努力が必要です。あえて言うなら、それが個人的なミッションというか、使命なのかもしれません。

石 原

なるほど。ちなみに、ミッションをクリアするためのキーポイントはどこにあったのですか?私の場合、先ほども話しましたがIoTの特性上、データの量も種類も際限なく増えていきます。それを保存する「Data Platform」がボトルネックにならないよう、とりわけデータベースが性能と可用性を保てるように選定・設計することを意識しました。

長谷川

私はデータの分析をおこなう前段階の「データの加工処理」ですね。それ自体は非常に地味な作業ですが、分析の際には必要不可欠な要素です。お客様の要望によって難易度や開発内容が変わるので一概に「コレ」というポイントは挙げにくいところ。しかしベースとなる作業を丁寧にできるかどうかは、どの案件にも共通する重要なポイントだと思います。また先ほども話しましたが、お客様の要望に応える技術・知識を身につけるため、さまざまな論文に目を通し、積極的に新技術も活用しました。

込 山

「Gateway」に関しては工作機械メーカーごとにハードの仕様が異なります。そのためシステム設計上、いわゆるパッケージサービスとして抽象化・共通化する層と、個別に実装する層を最適化することが重要でした。ですから、ひと通りの開発〜テスト〜実装をおこなった後も、システム設計の改善は意識しましたね。もちろん、運用フェーズに入った後も同様です。

石 原

「Gateway」は各社の工作機械や設備とつなぐ必要がありますよね。その点、今回の『Orizuru』開発における込山さんの役割は一般的なプログラマーとは少し違う部分もあるのかなと。傍から見ると、随分苦労していたようにも思うのですが。

込 山

「Gateway」と工作機械・設備をつなぐには、まず各社のCNCの通信仕様を把握する必要があります。しかし、その情報はネットで検索して見つかるものではありません。そもそもメーカー側もそんなことをする会社があるとは想定していないと思います。ですから技術調査においてはコスト・労力ともにエネルギーを費やしましたね。しかし、だからこそ他社がやっていない「各社のCNCとつながること」が『Orizuru』の大きな強みになるんです。

長谷川

込山さん、工場にも何度も足を運んでいましたよね。

込 山

はい。開発過程の一環としておこなうテストですね。実際に工場に足を運んで工作機械や設備に「Gateway」を接続してみなければテスト結果を判断できないんです。開発現場であるコアコンセプト・テクノロジーと各工場との物理的な距離は、残念ながらPC操作で埋めることはできません。自分の足を使って粛々と検証する必要があるんです。

延べ3か月に及ぶ開発作業。
完成した『Orizuru』は
いよいよ運用フェーズへ。

込 山

でも、私からすると二人とも純粋にすごいなと思います。石原さんはプロジェクトの古参メンバーとして長く一緒にやってきましたが、総合的なITに関する知見が深い。長谷川さんは何といっても数値計算ですね。言葉で表せないぐらい、自分の想像を超えた凄みを感じます。

長谷川

ありがとうございます。私から見た込山さんは、それこそ想像もつかない領域の仕事をしていますけどね(笑)。石原さんは開発スキルだけでなく、解析部分にも通じる知識を備えています。エンジニアとしての総合力が高いですよね。

石 原

私から見る二人も専門領域に強いイメージです。長谷川さんは、言わずもがなAI。お客様の想像を常に超えていくスキルには脱帽です。一方、込山さんは製造業界の知識ですね。製造業界のお客様との交渉や打ち合わせに込山さんが同席してくれると本当に心強いですから。

込 山

仮に役割をシャッフルして同じ開発をしろと言われても、絶対にできませんよね。各専門領域に強いメンバーを集めて、そのスキルと知識を結集したのが『Orizuru』ですから。裏を返せば、そういうメンバーの集団であるコアコンセプト・テクノロジーだからこそ開発、ローンチに至ったともいえるのではないでしょうか。

石 原

確かに。あとは開発担当者の連携も『Orizuru』の開発を支えた要因だと思います。それぞれ開発する機能は違うけれど、すべてを組み合わせた時にうまく作動しなければいけませんから。メンバー間でのコミュニケーションは円滑だったと思います。

長谷川

席も近いですからね。改まってミーティングの場を設けるというよりも、日常的に顔をあわせる中でお互いに情報を共有しながら開発を進めていきましたよね。そして、たまにお酒を飲む。というサイクルで(笑)。

込 山

そう。だから開発過程で大事には至らなかった。言い換えれば、要件定義や仕様設計といった上流工程の作業が個々にしっかりとできていたんだと思います。

石 原

そうですね。普通は要件定義、設計、開発、試験などフェーズごとに担当を分けますが、コアコンセプト・テクノロジーではそれらを一人で担当することもあります。そういった意味では『Orizuru』に限った話ではありませんが、上流工程に当たる要件定義、設計をしっかりとできていたことがスムーズな開発につながった要因のひとつであることは間違いないと思います。

長谷川

プロジェクト始動から完成までに要した期間は約3ヶ月。2016年11月には初めての導入にも至りました。個人的にはかなり頑張ったと思いますが、完成した時の率直な感想はどうでした?

込 山

開発が終わって運用フェーズに移行した時点でひと安心しました。ただ、その安堵感は一時的なもの。「Gateway」は工場に常駐する通信アプリケーションですから、運用上の障害の危機感は完全に拭えません。運用後もトラブルが起きないように対策面は常に意識しています。

石 原

そうですよね。私も最初の導入時は、まず正常に作動したことに胸をなでおろしました。同時に今後、データの種類、量、速度が増え続けていくことを考えると、クラウド側としては最適な構成に常に乗り換えていく必要があると感じました。

長谷川

『Orizuru』の最初の導入は工作機械メーカーさんですよね。工作機械のデータを可視化するWebサービスとして導入したので、私が担当しているデータ活用までは運用に至っていませんが、実際の反応はどうでしたか?

込 山

導入から約2年が経ちますが、今も安定稼働しています。また日数を重ねる中で『Orizuru』自体もシステム・機能ともに進化を遂げています。現在は「可視化」がメインサービスですが、今後はデータ活用も視野に入れていると聞いています。

石 原

それ以外にも、導入先からはたくさんの嬉しい声をいただいています。たとえばAIなら「絶対にこの領域は無理だと思っていたけど、見事に期待に応えてくれた」という声をいただきました。また3DのWeb表示についても「こんなに早く表示されるんだ」など、概ね好評をいただいています。

込 山

忘れていたけど、リアルタイム性=速さもミッションのひとつだったね。私は技術展示会で『Orizuru』をプレゼンしましたが、機械や設備のデータ情報がコンマ秒数単位でインターネット越しに画面表示される点には多くの来場者が驚いていました。

確かに得た、『Orizuru』への手応え。
次なるミッションへ、
ひたすら歩みを進める

石 原

開発業務には苦労や大変さをともなう一方で、面白さや新たな発見に出会うこともあると思います。私はもともとオンプレミス(自社運用)のインフラエンジニアだったので、まず設計に使用したAWS(アマゾンウェブサービス)の手軽さに感動しました。同様にサーバーに関してもAWSのサーバレス機能を活用することで、思った以上に効率よく開発業務が進みました。この経験によって、エンジニアとして間違いなく成長したと思います。

込 山

「Gateway」は完全なるパッケージシステムではありません。そのため、お客様の課題を直接ヒアリングしながら最適な導入の形を検討・提案することができます。大変さがともなう分、それに比例して達成感や面白さも感じますね。ITエンジニアとしてプログラミングスキルの向上はもちろん、お客様とのやりとりを通してコミュニケーションスキルにおいても成長を実感しています。

長谷川

機械学習はデータありきです。データがなければ何もできません。その点『Orizuru』なら、生きたデータを扱えます。これはとても貴重な経験だと思います。また、お客様からいただいた課題を解決するための方法として、未経験の領域の知識が求められる場合もあります。私にとっては、それも楽しさの一部。新しい技術を知り、実際に使っていくことができる開発環境はとにかく面白いですね。

石 原

『Orizuru』の開発は、それぞれに好影響があったということですね。同時に、この経験を次に活かしていくことも大切だと思います。

長谷川

そうですね。私が担当している機械学習の部分ですが、現状は自社製品というよりも請負に近い形です。しかしこれまでの導入案件を通して感じたのは、意外と同じ課題で悩んでいるお客様が多いということ。その悩みをデータベース化して、新しい製品に変えていくような開発に挑戦してみる価値はあると思います。またディープラー二ングなどの最先端の技術を使ったサービスも開発してみたいですね。特に画像生成など、何かを作り出す手法は使い方次第で面白いことができると思います。

込 山

「Gateway」の開発も含め、私の仕事は工場の現場改善を図ること。その視点から考えると『Orizuru』 という形式以外にも改善提案をできる余地があると思います。今後は経験を重ねる中で知識を広げ、一方で自分の技術をサービスとして落とし込んでいくなど、製造現場改善に関わる技術営業に近い役割も携わってみたいですね。

石 原

私はシステム全体の設計に携わったことで、込山さんや長谷川さんが担当した技術や知識も多少ながら学ぶことができました。それを踏まえると、今後はお客様に最適なシステムや製品の提案やコンサルも可能だと思います。『Orizuru』のさらなる活用としてそういった挑戦もしてみたいですね。またデータを貯めるプラットフォームとしては導入事例もどんどん増えています。今後は溜まったデータの分析や生産現場へのフィードバックもおこなえる製品にしていきたいと考えています。

長谷川

『Orizuru』そのものの可能性についてはどうですか?一概に製造業といっても分野を細かくカテゴライズすれば、とても広い業界です。ということは、まだまだ可能性も秘めていると思うんです。当然、『Orizuru』も今がベストでも完成形でもないですから。今後の活用次第では会社の主力、事業の柱になる可能性は十分にあると私は思います。

込 山

そうだね。製造業向けといっても実質的に今の『Orizuru』が対象としているのは“金属加工業”がほぼメインですから。長谷川さんが言うように、たとえば職人製造も化学薬品も製造業界に属するひとつの分野です。製造業の中での対応カテゴリーの拡大やニーズを模索していくことも大切だと思います。

石 原

『Orizuru』は他社製品ではできないことを可能にするサービスです。その特長を突き詰めるだけでも製造業向けIoTとして一番になれると思います。他社との差別化という意味でも、まずは製品の品質をさらに高めていくことが大事だと思います。それによってコアコンセプト・テクノロジーが目指すグローバル展開も現実味を増すと思います。そして、いざ世界に出た時、日本の文化を象徴の一つである折り紙と鶴から取って名付けた『Orizuru』を通して、日本の製造業の技術力や精度の高さをアピールできれば最高ですね。